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「出来レース」と言わせない。納得感を生むための評価基準のオープン化とプロセスの透明性

華やかな表彰式の後、社員たちの間でこんな会話が囁かれていませんか?

「どうせ最初から決まってたんでしょ、出来レースだよ」
「なんであの人が選ばれたのか、全然わからない」

表彰制度において、社員のモチベーションを最も下げる要因は、賞金が少ないことでも、式典が地味なことでもありません。
最大の不満要因は、「なぜあの人が選ばれたのか分からない」という不透明性にあります。

選考理由やプロセスが見えない「ブラックボックス化」した表彰は、社員の間に「どうせ頑張っても無駄だ」というシラけムードを蔓延させます。

逆に言えば、「納得感」さえ醸成できれば、表彰制度は組織の信頼関係を強固にする強力な武器になります。

本記事では、社員の不信感を払拭し、「次は自分が目指したい」と思わせるための評価基準のオープン化と、プロセスの透明性確保について解説します。

なぜ、あなたの会社の表彰は「不公平」に見えるのか?

そもそも、なぜ社員は表彰制度に対して「不公平だ」「出来レースだ」と感じるのでしょうか。
その背景には、大きく2つの原因があります。

1. 評価基準が「曖昧」である

「頑張った人を表彰します」「優秀な成果を上げた人を称えます」──。

こうした抽象的な言葉だけで募集をかけていないでしょうか。基準が曖昧だと、選ばれなかった人は「自分だって頑張ったのに」と感じ、選考結果を「上司の好き嫌い」や「政治力」のせいだと解釈してしまいます。

2. 経営メッセージと実際の受賞者に「ズレ」がある

経営陣が中期経営計画で「失敗を恐れずに挑戦しよう!」と掲げているにもかかわらず、実際に表彰されるのが「ミスなく無難に業務をこなした人」であればどうでしょうか。

この「言っていること(経営目標)」と「やっていること(表彰基準)」の矛盾は、社員に強烈な不信感を与えます。
「結局、口では挑戦と言いつつ、会社は保守的な人を評価するんだな」と見透かされてしまうのです。

納得感を生む「3つの透明化」アクション

「出来レース」という批判を封じ、社員の納得感を高めるためには、徹底的な「透明化」が必要です。
具体的には、以下の3つのステップで情報を開示しましょう。

【基準の透明化】評価項目を事前に公開する

まずやるべきは、「具体的にどのような行動や成果が評価されるのか」という基準を事前に公開することです。

例えば、「イノベーション賞」であれば、「単に売上が上がったこと」ではなく、「既存の枠組みを超えた新しい手法を取り入れたか」「失敗を恐れずに仮説検証を行ったか」といった具体的な行動基準を示します。

これにより、評価基準は単なる審査の道具ではなく、社員が目標達成に向けて進むべき方向を示す「具体的な行動指針(コンパス)」へと変わります。

【プロセスの可視化】「誰が」「どうやって」決めたかを開示する

次に、選考プロセス自体の可視化です。
「役員会で決定しました」という一言で済ませるのではなく、以下のような情報をオープンにします。

「誰が」「どのような手順で」決めているかを明らかにすることで、選考に対する疑念を払拭し、公正さを担保することができます。

【理由の言語化】「受賞理由」だけでなく「フィードバック」を徹底する

最後に、結果に対するフィードバックです。
受賞者の発表時に、「なぜこの行動が素晴らしかったのか」という選考理由を、経営理念や評価基準と紐づけて言語化して伝えます。
これにより、他の社員への「学習効果」が高まります。

さらに重要なのが、惜しくも選ばれなかった候補者へのフィードバックです。

「何が良かったのか」「次はどうすれば受賞に届くのか」を伝えることで、応募者のモチベーションを維持し、次回の挑戦へと繋げることができます。

事例に学ぶ「民主化」されたアワード

実際に、プロセスの透明性を高めることで社員の納得感と参加意欲を引き出した企業の事例を紹介します。

日清食品ホールディングス:「推し」投票による民主化

日清食品ホールディングスの「NISSIN CREATORS AWARD」では、優秀賞の中から全従業員の投票で選ぶ「従業員特別賞」を新設しました。

一部の役員だけで決めるのではなく、全社員が「審査員」として参加する仕組みを作ることでプロセスを「民主化」した結果、社員は他部署の取り組みを真剣に吟味するようになり、アワードを「自分ごと」として捉える空気が醸成されました。

東レ:「プロセス」評価で190件のエントリー

東レの「はじめの一歩賞」は、「成果」が出る前の「挑戦プロセス」そのものを評価基準に据えました。

「結果が出ていなくても、挑戦した事実を評価する」という基準を明確に打ち出したことで、社員の心理的なハードルが下がり、想定を上回る190件ものエントリーが集まりました。基準が明確であれば、社員は安心して手を挙げることができるという好例です。

まとめ:評価基準の公開は、社員への「招待状」である

評価基準や選考プロセスを公開することを、「手の内を明かすようで怖い」と感じる管理者もいるかもしれません。しかし、それは誤りです。

評価基準をオープンにすることは、社員に対して「あなたにもチャンスがあります」「会社はあなたのこういう行動を待っています」という招待状を送ることと同義です。

「なぜ選ばれたのか分からない」という不透明性を排除し、ガラス張りの運営を行うこと。それこそが、社員が「自分も目指したい」と思える納得感を生み出し、表彰制度を成功させる唯一の道なのです。

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